はじめに:新人エンジニアだった私
今から35年前、私は派遣社員としてIT企業で稼働していました。
当時はまだコンピュータといえば大きなデスクトップが当たり前。プログラミングも今ほど情報が豊富ではなく、今のようにAIなんてなかった時代。分厚い技術書と格闘しながら、試行錯誤の連続でした。
そんな私が30年以上エンジニアとして歩んできた道のりを、転機となったエピソードを交えながらお話しします。
第1の転機:「コードが動いた!」瞬間(26歳)
挫折の連続
当初は、本当に何もわからない状態でした。先輩から渡されたコードを見ても、まるで暗号のよう。「これ、本当にできるようになるの?」と不安で仕方ありませんでした。
初めての成功体験
入社から3か月後、ついに自分の書いたプログラムが動いた瞬間は、今でも鮮明に覚えています。
「Hello World」というシンプルなプログラムでしたが、画面に文字が表示された時の感動は、何にも代えがたいものでした。
この時学んだこと:
- 小さな成功体験を積み重ねることの大切さ
- 「わからない」は恥ずかしいことではない
- 質問することの重要性
第2の転機:派遣社員→業務委託へ(36歳)
開発からインフラへ
長いこと派遣社員でいるといろいろな面で不遇であることに気づきました。
給与面、メンバーとして働いていても待遇面の違いなどなど…から業務委託へ契約を変更し、新たにエンジニアとして案件探しを始めたところ、紹介してくださった会社から「インフラエンジニアやってみない?」と声をかけられました。
技術的なことが好きなこと、自ら手を動かしてその結果が目に見えてわかるインフラエンジニアは開発よりも自分に合っていました。
またインフラエンジニアになってしばらくしたころ、知人からの紹介でWebディレクターの仕事をいただき業務委託としてインフラエンジニア、在宅ワークでWebディレクターという2本の柱ができました。
この時学んだこと:
- 失敗を恐れない
- 同じ質問は2度しないためのメモ術
- 数をこなすことで新しい知識が増える
- 目の前の仕事だけではなく人との繋がりが幅を広げてくれる
第3の転機:プロジェクトマネージャーという選択(41歳)
人をまとめるのは苦手…正直、断りたい気持ちが強かったです。まだまだ学びたいことも多かった頃の話です。
人間関係の難しさ
リーダーになってみると、技術力だけでは解決できない問題がたくさんありました。
- メンバー同士の意見の食い違い
- 進捗の管理
- 顧客との調整
毎日がストレスの連続で、「やっぱり一人で設計したりコード書いている方が楽だな」と思うことも多々ありました。
転機となった出来事
プロジェクトが佳境に入った時、チームメンバーの一人が体調を崩してしまいました。
締切まで時間がない中、他のメンバーが自然と協力し合い、困難を乗り越えていく姿を見て、「チームワークの素晴らしさ」を実感しました。
この時学んだこと:
- リーダーシップは「指示する」ことではなく「支える」こと
- 信頼関係の構築が何より大切
- 困難な状況こそ、チームが成長するチャンス
安定への疑問
15年間エンジニアとして働いて、それなりの地位も得ていました。多数の企業様で働き多くの知識を身につけることもできました。
でも、どこか物足りなさを感じていたのも事実です。なにより自分の時間が持てないのが一番辛かった。。。
「このままでいいのかな?」という疑問が、日々大きくなっていました。
勇気を出したフリーランスへの道
正直怖かったです。でも、「後悔したくない」という気持ちが勝り、思い切ってフリーランスとして活動を開始しました。
幸い業務委託時からの繋がりからありがたいことに、案件をいただくことが出来ました。
新しい環境での学び
フリーランスになり、これまで以上に全く違う技術や文化に触れることができました。
15年間培ってきた経験は確実に活かされましたが、同時に「まだまだ学ぶことがたくさんある」ことも実感しました。
この時学んだこと:
- 「安定」は時として「停滞」でもある
- 新しい環境は、新しい発見をもたらす
- 経験は「資産」であり、どこに行っても活かせる
第4の転機:技術の急速な進化(58歳)
AI・機械学習の波
この頃になると、AI・機械学習技術が急速に普及し始めました。
「これまでの技術が古くなってしまうのでは?」という不安を感じながらも、新しい技術を学ぶことにしました。
学習方法の変化
30年前とは違い、オンライン学習やコミュニティが充実していました。
- YouTube:分かりやすい解説動画
- Udemy:体系的な学習コース
- GitHub:実践的なサンプルコード
年齢を重ねていても、学習方法が進化していれば、新しい技術を身につけることは十分可能でした。
特に、体系的に学べるオンライン講座は効率的でした。自分のペースで学習できるので、仕事との両立もしやすかったです。特にUdemyにはお世話になっています。(笑)よくセールを行なっているので1教材が3〜4時間ぐらいのものが1500円程度で入手できます。買い切りなのも安心ですね。
この時学んだこと:
- 「年齢」は学習の障害ではない
- 「学び続ける」ことがエンジニアの本質
- 新しい技術も、基本的な考え方は変わらない
第5の転機:メンターとしての役割(58歳)
後輩指導の重要性
この頃になるとさすがに、自然と後輩を指導する機会が増えました。以前から指導をする立場にはありましたが、メンターが主になりました。
最初は「自分のことで精一杯」という感じでしたが、人に教えることで、自分自身の理解も深まることに気づきました。
若いメンターさんも見かけますが、年齢が上がるにつれて知識や人間性を重視してもらえるので案件的に獲得しやすいです。「
教えることで学ぶ
後輩からの質問に答える中で、「なぜこうなるのか?」を改めて考える機会が増えました。
基本的なことでも、説明しようとすると意外と難しく、自分の理解の浅さを実感することも多々ありました。
この時学んだこと:
- 「教える」ことは最高の学習方法
- 基本的なことこそ、深く理解する必要がある
- 後輩の成長が、自分の喜びにもなる
現在:これからの10年を見据えて(61歳)
技術の変化への対応
30年間エンジニアを続けてきて感じるのは、「技術は常に進化し続ける」ということです。
今後10年も、きっと想像できないような技術革新が起こるでしょう。でも、それに対応していくのも、エンジニアの醍醐味だと思います。
次世代への想い
これからは、自分の経験を次の世代に伝えていくことも大切な役割だと考えています。
技術的なスキルだけでなく、「エンジニアとしての心構え」や「継続する意味」も伝えていきたいです。
35年間で学んだ「エンジニア人生」の本質
1. 継続は力なり
35年間続けてこられたのは、「好奇心」を失わなかったからだと思います。新しい技術に触れる時のワクワク感は、今でも変わりません。
2. 人とのつながりの大切さ
エンジニアは孤独な職業と思われがちですが、実際は多くの人との協力で成り立っています。技術力だけでなく、人間関係も同じくらい大切です。
3. 失敗を恐れない勇気
30年間、数え切れないほどの失敗をしてきました。でも、その失敗があったからこそ、今の自分があります。
4. 健康管理の重要性
長期間エンジニアを続けるには、体と心の健康が不可欠です。無理をしすぎず、自分のペースを保つことが大切です。
最後に:これからエンジニアを目指す方へ
もしあなたが今、エンジニアとしてのキャリアを考えているなら、ぜひ挑戦してみてください。
技術の進歩は確かに速いですが、それだけやりがいのある仕事でもあります。
大切なのは、「完璧を求めない」こと。私も30年間、常に学び続けている途中です。
一緒に、この素晴らしいエンジニアの世界を歩んでいきませんか?
この記事が、エンジニアを目指す方や、現在頑張っている方の参考になれば幸いです。質問や感想があれば、お気軽にコメントくださいね。